歌仙と見習い
歌仙兼定は笑わない。とはいえ仏頂面というわけでは決してなく、むしろ逆で、つねに淡く微笑んでいる。彼のことをやさしい刀だと人の子は言うが、それは全くの間違いだと彼自身は思っていた。庭に咲き誇る花に目を細め、口角をほんの少しあげる。――目で、耳…
掌編 文章掌編
臆病な鼓動ふたつ
※お題箱より貴方の左心房を、僕に下さいの二人の来世 教室の窓際に立って外を眺めていた。よく晴れていて、グラウンドでは、陸上部が延々とコースを走っている。長距離走の練習をしているのだ。同じ場所を、一定の速度で走り続ける姿を眺める。マ…
掌編 文章掌編,膝さに
約束_01
成人向け描写があります。R18
18歳以上ですか? YES/NO
劫火 文章劫火
劫火_06
むかしむかしあるところに、へびの神様がおりました。かれはとてもやさしいこころを持っていましたが、とてもおくびょうで、山の奥深く、人のこないみずうみの近くにすんでおりました。ある日、いつものように水をのみにきた神様は、みずうみの遠くの滝にふし…
劫火 文章
劫火_05
高い所から平原を眺める。言葉がでない。ここは高い山の中腹で、朝から歩いてたどり着いたころには午後になっていた。空が広い。山は薄く雲のヴェールがかかったようになっている。胸のすくような風景だった。「どうしてこんなに高い場所に来たの?」草原で準…
劫火 文章
鉄。あるいは、それとよく似たもの
※お題箱 歌仙兼定が神様っぽい歌さに 隣の席のゆうくんは、いつも日に焼けていた。とりわけ夏になると、休み時間のチャイムと共にグラウンドにくり出し、プールでは常に全力で水しぶきをあげるので、表面を焦がしたパンのようになる…
掌編掌編,歌さに