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キャプション※必読 >>※全体的に、創作女審神者が主人公で独自設定強め。本丸乗っ取り、SF要素等、刀剣破壊表現あり。真名やブラック本丸などの二次設定あり。なんでも許容できる方向けです。貶める意図はないですが、キャラがひどい目にあ…

すくわない(30)

薄く目をあけると、白っぽい壁が目に飛び込んでくる。既視感に襲われて記憶をたどる。ここは病院で、過去に一度来たことがある。ぼんやりとした意識のまま視線を窓のほうに向けると、白い服に身を包んだ女性がいた。カーテンを纏めて端に寄せている。生地の重…

すくわない(29)

闇から出てきたのは異形の頭だった。最初に鼻先、続いてずるずると胴体が押し出されてくる。女を抱えて岩陰に向かった。移動するときに微かに水が跳ねて、化け物がさっとこっちを向く。聴覚があるのかと、脳が意外と冷静に判断した。化け物はしばらく宙を見つ…

すくわない(28)

夕日に照らされた和室に入ると女は手を伸ばし、壁際に置いてある、腰の高さほどのタンスの、いちばん上の段をひく。なかは空のように思えたが、よくみると奥に黒い箱があった。静かなしぐさで箱を取り出すと、まるで子供のようにぺたりと座り、畳に置く。狐は…

すくわない(27)

「やーっと出てくる気になったか」難しい顔をして立ち尽くしている男に和泉守は声をかける。長谷部は苦々しい顔を浮かべた。「お前が、この女に、くだらないことを言うから……!」「どうせ聞こえてねぇよ。もう忘れたのか」はっとした顔をしてから、情けなく…

すくわない(26)

目を覚ますと朝の光であふれていて、避けるように寝返りを打った。反動で、首元にいたこんのすけが畳にころがっていく。眠くて布団にもどす元気がなく、ごめんと心の中で呟きながら体をかたくしていると狐が戻ってきたので、手を伸ばして布団のなかにいれる。…

すくわない(25)

みかんの表面に血管のように張り付いている白いすじを丁寧にとりながら、今日の予定を考える。ここに一番栄養があるんだよ、と過去に誰かが言っていた。だけど、口に入れたときの触感が苦手なので、ひとつひとつ取りのぞく。忠告してくれたのはおそらく燭台切…

すくわない(24)

最近の主は張り詰めた糸のようだった。表面上に変わりはないが言葉にできない危うさがある。朝礼以来、仲間はどこか萎縮している。夜、和泉守は刀の部屋に呼ばれた。彼らは非番のときは基本的に暇なので時間を持てあましている。部屋についてみると妙に騒がし…

すくわない(23)

「大丈夫?」肩を揺さぶられて薄く目をあける。横には眠る前とおなじく若い男がいた。正座して側にいるのは主である女で、さっきまでの記憶が蘇って反射的に身を捩り、伸ばされた手をはじいた。室内の空気が二度くらい下がった気がするが、弁解をする間もなく…

すくわない(22)

あんなに体が痛かったのに手入れ部屋で数時間過ごし、目を覚ますと嘘みたいに苦痛は消えていた。負傷した翌日は体を慣らすために休みをあてられる。鞘の汚れが気になったので、日差しがやわらかくおちる縁側で布巾を片手に乾拭きしていると長曽祢虎徹がたずね…

血潮に触れる【推敲前】

※リストカット、自殺の表現があります。主人公の女の子に名前があり、かなり詳細な設定があります。推敲前の文章です。いつか誤字脱字チェックしなおしたいと思います。いつか…。 パス:53

すくわない(21)

その日は朝からやることがなく暇で、ぼうっとしていると廊下のほうがざわざわとしていることに気がついた。堀川国広が顔をあげる。青い目が庭を射抜くように見つめ、だんだんと大きくなる。「どうした」畳でころがっていた体を起こしたずねる。国広は猫みたい…