膝さに

屋敷蛇のおはなし

昨日は雨が降ったのか、地面が水を撒いたように濡れていた。縁側の上で片膝を立てて座りながら静かに庭を眺める。新緑が光を受けて輝いている。爽やかな初夏の朝だった。風が庭を通り抜けていき、さらさらという葉が揺れる音に耳を澄ませると、心が透明になる…

臆病な鼓動ふたつ

※お題箱より貴方の左心房を、僕に下さいの二人の来世 教室の窓際に立って外を眺めていた。よく晴れていて、グラウンドでは、陸上部が延々とコースを走っている。長距離走の練習をしているのだ。同じ場所を、一定の速度で走り続ける姿を眺める。マ…