潮騒

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キャプション※必読 >>※全体的に、創作女審神者が主人公で独自設定強め。本丸乗っ取り、SF要素等、刀剣破壊表現あり。真名やブラック本丸などの二次設定あり。なんでも許容できる方向けです。貶める意図はないですが、キャラがひどい目にあ…

すくわない(30)

薄く目をあけると、白っぽい壁が目に飛び込んでくる。既視感に襲われて記憶をたどる。ここは病院で、過去に一度来たことがある。ぼんやりとした意識のまま視線を窓のほうに向けると、白い服に身を包んだ女性がいた。カーテンを纏めて端に寄せている。生地の重…

すくわない(29)

闇から出てきたのは異形の頭だった。最初に鼻先、続いてずるずると胴体が押し出されてくる。女を抱えて岩陰に向かった。移動するときに微かに水が跳ねて、化け物がさっとこっちを向く。聴覚があるのかと、脳が意外と冷静に判断した。化け物はしばらく宙を見つ…

屋敷蛇のおはなし

昨日は雨が降ったのか、地面が水を撒いたように濡れていた。縁側の上で片膝を立てて座りながら静かに庭を眺める。新緑が光を受けて輝いている。爽やかな初夏の朝だった。風が庭を通り抜けていき、さらさらという葉が揺れる音に耳を澄ませると、心が透明になる…

潮騒_06

本丸から離れた刀解部屋の前で、三人の男が絶句したように佇んでいた。一見、神社のような作りの建物は、扉がしっかりと閉ざされていた。中から厳重に結界が貼られているそれは、防音まで施されているようで、物音ひとつしないのだった。御手杵が無理やりにで…

潮騒_05

数冊の本を腕に抱えながら、長い廊下を歩く。外に視線を向けると、桜の蕾が綻ぶように膨らんでいて、風が吹く度に花びらが揺れていた。桜の花を見ると、無条件で心が浮き立つのはどうしてだろう。審神者は、視界に映る桃色を眺めながら、春の訪れを感じていた…

潮騒_04

朱色の鳥居が、冬の景色の中に所在投げに佇んでいた。のどかな田んぼ道から少し外れた茂みの奥に、それはあった。こじんまりとした鳥居の奥に、小さな石が重ねられている。石の脇に、飲み口の欠けたお猪口がぽつんと置いてあった。中身は入っておらず、底の方…

潮騒_03

川の水は清らかだ。淵にしゃがみ込み、水に指を差しいれると、身を切るかのような冷たさを感じた。体がふるりと震える。手を差し入れたところから途端に水の流れが変わる。底の石まで見えそうに透明な水を無表情で眺めた。近くでくるくると、葉っぱが水流に飲…

潮騒_02

秋が深まってきた。外では、少しずつ紅葉が色づいてきている。執務室から見える木も赤やオレンジと、目に温かいが、空気はひんやりと冷たい。そろそろ紅葉狩りの季節だと思った。今日は特に忙しくもない日で、来週の編成を加州と相談していた。机の上に置かれ…

潮騒_01

空に大きな月が、顔をのぞかせている。今日はとてもきれいな満月だったので、仕事が終わった後に月を見ながらお酒を飲むことにした。お酒は以前購入していた日本酒で、辛口のきりっとした後味が美味しい。お酒は、いい気分の時に飲むようにしている。気分が沈…