あまえる
※お題箱よりリクエストを頂いた「甘えたな審神者と歌仙のお話」です。 厨の中は静かだった。蛇口から流れる水の音だけが反響している。台所の洗い場は一般家庭のものよりひとまわり大きくて、ステンレスの受け台には汚れたお皿が入っていた。予洗…
文章歌さに
鉄。あるいは、それとよく似たもの
※お題箱 歌仙兼定が神様っぽい歌さに 隣の席のゆうくんは、いつも日に焼けていた。とりわけ夏になると、休み時間のチャイムと共にグラウンドにくり出し、プールでは常に全力で水しぶきをあげるので、表面を焦がしたパンのようになる…
掌編掌編,歌さに
目を閉じれば柔らかな暗闇
模造刀を抱えながら廊下を歩く。いまにも雨が降り出しそうな灰色の雲が空をおおっていた。黒い刀を抱えなおし、横目に庭を眺める。あいもかわらず見事な庭園に、ほんの少しだけ心に影がさした。だけどその理由がいまいち自分でも分からず、憂鬱な気持ちを振り…
掌編 文章掌編,歌さに